〜諏訪吟行投影記のご紹介です。〜


  【諏訪吟行投影記】岐阜 森   命


七月二十九日午前十一時、下諏訪駅に車を止めると、ちょうど本日お世話を頂く山田靖さんにお目にかかる。靖さんは休俳中であるが海紅の大先輩である。

十一時三十分、新宿発あずさ九号到着。唯人社主、穂さん、美登里さん、功子さん、通子さん、幸三さんが、いつもの如く賑々しく登場。耕司さんはすでに一本前の電車で到着。

駅弁買う気はない甲斐も信濃も夏の山

諏訪に会う人あればあえて形見のリュック美登里

「あずさ」が入る海紅の顔ゆるみっぱなし

小雨が降り出しているため、真っ先に句碑へとの靖さんの案内で水月公園へ。水月公園は臨済宗妙心寺派の慈雲寺という檀家千五百戸余を持つ大きな寺の横より、約一キロメートルに及び、山の斜面に続く句碑の公園である。今回は雨で足が滑る心配があるため、靖さんが裏道を海紅句碑の横まで車で連れて行って下さった。

ねじ花一本句碑への道を通せんぼ通 子

小雨の中、一同感無量の趣で句碑の前に立つ。

夏めくこころあり水平なれば家郷のごとし中塚一碧楼

それゆへに湖の水にうつしてはゆく赤とんぼ中塚たづ子

横には句碑建立に尽力いただいた靖さんの父、蒲公英さんの、

雪残るあかり林の中人の声する山田蒲公英

湖と街並みを正面にして建ち、松は傘の如く手を広げている。

あれからもずっと見ていた湖と俺達の本音唯 人

夏草へ巻き戻した時間先生たづ子夫人の句碑

山が山によりかかる野あざみむらさきいろ耕 司

句碑に声かけるこんにちはひとつ美登里

一碧楼・たづ子句碑へにわかに雨が草踊り功 子

みずうみを望み句碑と聞いた時報はオルゴール通 子

諏訪湖に映る空が夏色幸 三

句碑去りがたく傘開く歩巾が同じ

句碑を後にし靖さんお奨めのソバ屋へ。句碑の前とは違う顔をした銘々が好みの蕎麦に舌鼓を打つ。とてもおいしい蕎麦だった。




(万華鏡へつづきます)